Plant Cell Reports誌へ三浦謙治教授、有泉亨准教授、江面浩教授らの論文が掲載

本学生命環境系三浦謙治教授および神戸大学西田敬二教授らのグループによって、一過的タンパク質発現システムを用いることで、形質転換を経ずに塩基編集(ゲノム編集の一種で、標的領域に塩基置換をもたらす)をトマトにおいて高効率で行うことに成功しました。また、次世代にも高効率で変異が遺伝されることを明らかにしました。
ゲノム編集技術は、目的の遺伝子に狙い通りに変異や塩基置換を導入できる画期的な技術として注目されており、農作物の品種改良へ適用といった期待がもたれています。植物におけるゲノム編集は、通常、Cas9遺伝子等のゲノム編集酵素をもつ形質転換体を作製し、ゲノム編集酵素により、目的の遺伝子に変異や塩基置換を導入し、分離やかけあわせにより形質転換体から、ゲノム編集酵素を除くという方法で行われています。一方で、目的の遺伝子に変異や塩基置換が導入された後、ゲノム編集酵素は不要となります。
本研究では、一過的にゲノム編集酵素を発現させることで、形質転換を行わずに塩基編集トマトを作出することを行いました。ゲノム編集には「Target-AID」を用いることで塩基置換を誘発し、一過的にゲノム編集酵素を発現させる方法として、植物においてタンパク質の高発現を行える「つくばシステム」を用いました。その結果、次世代植物において18%の割合でホモに塩基置換された植物が得られました。また、71%の次世代植物においてゲノム編集酵素が含まれていませんでした。これらの結果から、つくばシステムを用いた一過的なTarget-AIDの発現により、ゲノム編集酵素をもたず、塩基置換が導入されたトマトを高効率で獲得できることが示されました。

【研究成果のポイント】
1.ゲノム編集技術のうち、塩基置換を導入する方法(塩基編集)を、形質転換を経ずにトマトに導入することに成功しました。
2.形質転換を経ないことから、分離や掛け合わせによるゲノム編集酵素の除去が不要となります。

【掲載論文】
Efficient base editing in tomato using a highly expressed transient system
(高効率一過的発現システムを用いた効率的な塩基編集トマトの作出)
Yuan S, Kawasaki S, Abdellatif IMY, Nishida K, Kondo A, Ariizumi T, Ezura H, Miura K

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