センターについて

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センターの役割と目的

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T-PIRC遺伝子実験センター長
柴  博 史

 21世紀はバイオの時代と言われていますが、全ての生物がその基本的な設計図として持っている遺伝情報を解析・活用する研究はますます活発になっており、新しい技術が次々に開発されるとともに、生命科学のあらゆる分野で活用され、その成果が社会のさまざまな場面で利用されるようになってきております。遺伝子実験センターは、1984年に設置されて以来、4つの重要な役割、すなわち、遺伝子の構造・機能に関する先端的な研究の実施、学内外における遺伝子組換え実験の安全管理、学内外共同利用施設としての高度な遺伝子関連実験機器・実験場所の提供、学内外に対する遺伝子関連実験技術の普及・教育を担うことを目的として運営されてきました。2000年度には遺伝子実験センターの改組・拡充が認められ、専任教員の増員と実験棟の増設が実現し、2001年7月にはよそおいも新たに活動が開始されました。また継続的に遺伝子組換え栽培施設の拡充を進め、わが国最大規模の”開かれた” LMO関連特殊栽培研究施設となっております。2017年には、旧農林技術センターとの統合により、「つくば機能植物イノベーション研究センター(T-PIRC)」が設置され、その中で上記4つの役割を担う部門として活動しています。 

 遺伝子実験センターは、基礎から応用、実用研究につながるトランスレーショナル研究を推進しています。これまでにも多様な植物への遺伝子導入を可能にする高効率な遺伝子組換えベクターの開発など世界トップレベルの形質転換技術開発や、食料、健康、エネルギー、環境問題および新産業創成につながる世界に誇れる多くの研究業績を発表してきました。また、本センターに設置した特定網室や模擬的環境試験ほ場を活用して、遺伝子組換え農作物・樹木に関する学外共同研究を多数実施し、多様な遺伝子組換え植物の育成・栽培・特性評価・環境影響評価等について多くの研究成果を蓄積しています。このような活動の一環として、2005年度より基礎研究としては我が国における第一例となる遺伝子組換え植物の第一種使用として耐塩性ユーカリの栽培試験を行い、その後も樹木や野菜、花卉を対象とした第一種栽培試験(隔離ほ場試験)を複数実施しております。2010年度からは、文部科学省の共同利用・共同研究拠点「形質転換植物デザイン研究拠点」として、毎年30〜40件の形質転換植物に関する共同利用・共同研究を企画・実施するとともに、「遺伝子組換えに関する国内最優先課題の選択の円滑化」と「実用化候補作物の作出に至る期間の大幅な短縮」を実現すべく、当該拠点が先導する形で国内研究機関が有する植物基礎研究・技術と組換え植物に関する開発研究・技術の融合・統合を進めています。また理研や農研機構等の国立研究開発法人や、民間との共同研究を推進し、国内拠点研究機関としての機能強化を目指しています。2019年には、本センターでの研究成果を基にした筑波大学発ベンチャー企業を設立しました。また近年では、文部科学省が実施するナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)のトマトバイオリソース中核拠点等、大規模変異体集団等の遺伝資源を用いた新品種開発や、ゲノム編集に代表されるNPBTの促進、社会実装を積極的に進めています。加えて、フランス国立農学研究所やホーチミン市バイオテクノロジーセンター、ミシガン州立大学植物レジリエンス研究所等、海外関連機関等との連携強化によるグローバル拠点化を推進しています。

 遺伝子実験センターは、本センターがこれまでに果たしてきた遺伝子研究や遺伝子組換え生物の育成・利用に関する知識・技術の開発・普及や社会受容をより一層推進するためのさまざまな努力を続けています。例えば植物バイオテクノロジーに関する科学リテラシー教育を目的に、センター教員と学部生・大学院生が主体となって毎月1回サイエンスカフェ(バイオeカフェ)を実施し、生命科学と環境科学の話題を中心に、一般市民と科学について気軽に語り合い、サイエンスリテラシーの普及に努めています。また高校生以上を対象とした公開講座や、国内外のシンポジウムや研究セミナー、技術セミナー等を開催しています。さらに文部科学省等の援助を受けつつ、東南アジアの若手研究者を主対象とした植物遺伝子解析に関する先端的な技術や遺伝子組換え植物に関する多様な技術を普及するための先端コースを開催しております。また中・高等学校の教員を対象とする植物バイオテクノロジーに関するトレーニングコースを開催するとともに、現在社会的にも大きな議論のある遺伝子組換え植物・食品の安全確保に関する研究を実施しつつ、遺伝子組換え生物に関する正確な知識の普及と社会受容にも努めております。

 遺伝子実験センターは、学内共同利用施設として生物学、農学、医学、体育学、化学、心理学など多くの分野から毎年40以上の研究室、300名以上の学内外の共同利用者を受け入れ、本センターの機器および施設を利用していただいております。また遺伝子組換え安全講習会の実施など筑波大学内外における遺伝子組換え実験の安全管理にも積極的に取り組んでいます。

遺伝子実験センターは、イノベーション創出に向けた基礎・基盤研究と、社会実装に向けた応用、実用研究の両輪で成り立っており、多様な人材が植物科学の発展に寄与できるよう、あるいは民間、地域と連携して消費者、生産者のニーズに応えられるよう日々努力しております。遺伝子実験センターがNPBTを含む世界の遺伝子組換え植物研究の中核拠点として発展していくためには、関係者一同の今後のより一層活発な研究活動が必要不可欠です。本センターが益々発展し、我が国および世界の植物科学研究にとって重要な拠点となれるよう、関係者一同も一層努力いたしますので、皆様のこれまで以上のご支援・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2019年4月  筑波大学T-PIRC遺伝子実験センター長 柴  博 史

組織と運営

※2017年(平成29年)4月より遺伝子実験センターは農林技術センターと統合し、つくば機能植物イノベーション研究センターとなりました。

遺伝子実験センター運営委員会

委員長(センター長)1名、センター長指名教員4名、関連3系長推薦教員8名で構成.

遺伝子実験センター教職員

職名 人数 人数内訳
センター長、教授 12名 (5+*7名)
准教授 8名 (2+*6名)
講師 1名
助教 6名 (*5名)
技術職員 1名
事務職員 3名 (2+*1名)
非常勤職員 16名 (*16名)
合計 46名

*拠点強化事業教職員、プロジェクト教員数(平成28年6月現在)

研究・教育

  • 【共同利用教員】 生命環境系、数理物質系、人間系、医学医療系 他
  • 【博士課程学生】 生命環境科学研究科、人間総合科学研究科、数理物質科学研究科、他
  • 【修士課程学生】 生命環境科学研究科、人間総合科学研究科、教育研究科、他
  • 【学類生】 生物学類、生物資源学類、他

歴代センター長

村上 和雄 1984年(昭和59年4月)〜1991年(平成3年3月)
柳澤 嘉一郎 1991年(平成3年4月)〜1992年(平成4年3月)
岡田 益吉 1992年(平成4年4月)〜1995年(平成7年3月)
鎌田 博 1995年(平成7年4月)〜2002年(平成14年11月)
藤村 達人 2002年(平成14年11月)〜2006年(平成18年3月)
鎌田 博 2006年(平成18年4月)〜2008年(平成20年3月)
江面 浩 2008年(平成20年4月)〜2010年(平成22年3月)
鎌田 博 2010年(平成22年4月)〜2014年(平成26年3月)
渡邉 和男 2014年(平成26年4月)〜2016年(平成28年3月)
江面 浩 2016年(平成28年4月)〜2019年(平成31年3月)

概要・沿革

 筑波大学遺伝子実験センターは、学内における遺伝子組換え実験の推進、安全管理、および、学内外の優れた研究者や技術者の養成を目的とした共同利用施設として 1984年(昭和59年)4月に設置が認められ、1985年秋に2階建て(延べ1,500平方メートル)の実験棟が完成し、1986年春より共同利用が開始された。その後、遺伝子研究の世界的かつ多様な分野での広がり、および、遺伝子組換え生物の産業的な利用の広がりとともに、遺伝子研究やその社会的対応に果たしてきた本センターの研究活動実績が認められ、2000年(平成12年)4月にはセンターの改組・拡充が認められた。この改組・拡充により、既存の遺伝子組換え基礎技術開発研究分野に加え、植物遺伝情報収集・解析研究分野と植物遺伝子多様性・進化機構解析研究分野が新設され、センター専任教員の増員(最終的な定員は、教授2名,助教授3名、講師2名、技官1名、事務官1名(学内措置による)となった)、4階建ての実験棟の増設(新たに延べ2300平方メートルが増設され、最終的な延べ床面積は3800平方メートルとなった)が行われ、2001年7月にはよそおいも新たに広範な利用が開始された。

  一方、遺伝子組換え植物の栽培や環境への影響調査を実施するために必須となる特定網室や模擬的環境試験ほ場の設置も着実に進められ、現在では、全国的に見ても大学関係では最大規模を誇る施設が設置され、学内外共同研究を進めつつ、産学官共同利用や全国共同利用も始まっている。このような施設を用い、 2005年より、文部科学大臣承認としては我が国で第1例目となる耐塩性ユーカリの隔離ほ場栽培試験を進めている。また,このような施設を有効に活用し、センター専任教員による独自研究を活発に進めつつ、次世代モデル植物として世界的に大きな注目を集めているナス科植物およびウリ科植物について、世界の研究者と共同で、トマトゲノムプロジェクトおよびメロンゲノムプロジェクトを進めており、国内中核拠点としてさまざまな産学官共同研究活動を実施している。

  本センターでは、植物、動物、微生物など各種生物の遺伝子を用いた最先端の実験を行うことができ、理学、農学、医学など広範囲に及ぶ多数の利用者が日夜研究活動を実施している。また,本センターでは,本学の遺伝子組換え実験安全委員会の要請を受け、学内において遺伝子組換え実験を行う予定の者(学類生、大学院生、教員、技術職員等)を対象とする遺伝子組換え実験従事者講習会を毎年数回開催し、講習後に提出させたレポートによる合否判定を行い、遺伝子組換え実験従事者として登録された者を中心にセンター利用を許可しており、センター利用登録者は300名を越えている。

  また、遺伝子組換え実験技術やバイオサイエンスのレベル向上と普及を目的とした遺伝子組換え基礎技術研修会(トレーニングコース)を毎年開催しており、我が国の産官学の若手研究者のみならず、東南アジアからの参加者も受け入れ、毎年秋に1週間にわたって実験を主体とするトレーニングを20名程度の受講者を対象として実施している。本コースでは、基礎技術ばかりでなく、最新技術についても専門家による指導をしていることもあり、参加者の満足度が高く、好評を博している。一方、遺伝子実験センターの改組・拡充に伴い,遺伝子研究および遺伝子組換え実験に関する正しい知識の普及と社会的受容をより一層推進することを目的とし、中学・高等学校教員のための遺伝子組換え実験教育研修会も毎年2回開催しており、既に日本全国から多くの教員の方が参加し、中学・高等学校における教育目的遺伝子組換え実験の普及に大きな貢献を果たしている。さらに、2006年4月からは、センター教員を中心に、一般の学生や市民とコーヒーを飲みながら気楽にさまざまな科学の話題について双方向で話しをするサイエンスカフェの活動も開始し、生命環境科学研究科と連携してバイオeカフェを毎月1回開催し、最新科学の理解を深めるためのサイエンスコミュニケーションの具体策の検討やサイエンスメディエーターを養成する活動も実施している。

  一方、学内ばかりでなく、筑波研究学園都市や全国の研究者を対象に、バイオサイエンスの最新知識・技術の普及を図るため、遺伝子実験センターセミナーや各種セミナーを開催し、活発な討論が行われている。

  このように、当センターは最も活発に活動を行っている共同利用施設の1つであり、学内共同利用施設として世界に誇れる研究成果を今後も出し続けていくとともに、遺伝子組換え実験技術の普及の一層推進、遺伝子組換え植物に関するさまざまな情報を常に社会に発信することで遺伝子研究や遺伝子組換え生物の利用に関する社会的受容を得られるように努力すること等が強く求められており、その実現に向けて今後益々活動を活発にする予定である。

受賞

日付 受賞者 備考
2016.9.2 新野孝男研究員 日本植物細胞分子生物学会 技術賞 詳細
2016.9.2 有泉亨准教授 日本植物細胞分子生物学会 奨励賞 詳細
2015.3.3 渡邉和男教授 The 28th Khwarizmi International Award 詳細
2014.8.21 江面浩教授 日本植物細胞分子生物学会 学術賞

センター利用状況

令和元年度遺伝子実験センター利用状況(2019/5現在)

研究室数 37研究室 (占有/18 , 機器/19)
利用者数 277名   (占有/163 , 機器/114)

人員 役職別内訳

教員 63
研究員 7
学生 175
その他 12
職員 3
非常勤 17
合計 277

*管理室 5名