【プレスリリース】花粉症治療に利用可能なシラカバ花粉アレルゲンの大量生産に成功

筑波大学 生命環境系(つくば機能植物イノベーション研究センター) 三浦謙治教授、医学医療系 野口恵美子教授、国立大学法人福井大学 医学部 藤枝重治教授らの研究グループは、シラカバ花粉症を引き起こすアレルゲンBet v 1を大量に生産することに成功しました。また、精製されたBet v 1は、シラカバ花粉症患者のIgE抗体に対し、これまでのアレルゲンと同様の結合をすることがわかりました。

本研究グループでは2018年に、植物において大量のタンパク質を生産することができる独自のシステムを開発しています。このシステムを用いることで、植物特有のタンパク質修飾がなされるとともに、収量の増加が期待されます。そこで、ベンサミアナタバコにおいて、Bet v 1を発現させたところ、植物1gあたり、約1.2mgの発現量が得られました。これは従来方法による高生産の収量と比較して6倍の生産量です。しかも、本システムで生産されたBet v 1は、シラカバ花粉症患者のIgE抗体によって認識されることから、アレルゲン活性を有する、より天然に近い、組換えBet v 1を作出できました。


図 つくばシステムにより得られた産生物の分析結果。
(A)ベンサミアナタバコ葉から得られた可溶性タンパク質を調べたところ、矢尻で示す25 kDa付近にBet v 1のバンドがみられ、(B)このバンドがBet v 1由来であることを、抗Bet v 1抗体にて検出しました。(C)Aをもとに収量を計算したところ、アグロインフィルトレーション後5日目において、1gあたり約1.2mgのBet v 1の蓄積が見られました。(D)ベンサミアナタバコ葉からBet v 1を精製したところ、ほぼ単一のバンドが得られ、LC-MS/MS解析の結果、Bet v 1由来であることが確認されました。

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