【プレスリリース】バイオマス増加をもたらすF1雑種における代謝物の変化を解明

多数のシロイヌナズナの系統について、交配によって両親よりも優れた形質を持つ「雑種強勢」の表現型発現レベルごとにグループ分けを行いました。これらの代謝物を比較し、雑種強勢の発現レベルに応じて、TCAサイクル(炭素代謝回路)における中間代謝物の産生量が変化することを明らかにしました。

雑種強勢は、異なる種あるいは系統を掛け合わせてできたF1雑種が、その両親よりも旺盛な生育を示す生命現象です。今現在流通している多くの農作物においても、これを利用したF1品種が栽培されています。しかしながら、雑種強勢という現象は100年以上前から知られているものの、未だにそのメカニズムについての全容解明には至っていません。
 本研究では、モデル植物であるシロイヌナズナ202系統を材料に、開花時期、種子サイズ、種子発芽時期、発芽後15日目の生重量に関する表現型解析に基づいて、雑種強勢の表現型発現レベルごとにグループ分けをしました。雑種強勢の発現レベルが高い交配組み合わせと低い交配組み合わせを比較解析した結果、高いレベルの雑種強勢を示す交配組み合わせにおいては、特異的にTCAサイクル(ミトコンドリア内での炭素代謝回路)の中間代謝物の産生量が変化することを明らかにしました。
雑種強勢の分子メカニズムを解明することで、効率的なF1育種法の確立や高バイオマス作物の開発等に貢献することが期待されます。

本研究成果は,2023年6月12日に国際雑誌「Scientific reports」に掲載されました。

研究代表者
筑波大学生命環境系
柴 博史 教授
横浜市立大学木原生物学研究所
杉 直也 特任助教
筑波大学生命環境系/理化学研究所環境資源科学研究センター
草野 都 教授
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻
鈴木 穣 教授

詳細はプレスリリースをご覧ください。

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