乾燥ストレスは、作物の成長に大きなダメージを与え、農業における深刻な環境問題の一つであります。乾燥ストレス時において、植物細胞内では水不足に陥ることから、恒常性の維持ができなくなり、最終的に死に至ります。本研究では、トマトにおける光受容体フィトクロム変異体phyAおよびphyB1B2が栄養成長期において乾燥ストレス条件下において耐性を示すことを明らかにしました。トマトphyAおよびphyB1B2変異体は乾燥ストレス条件下で、活性酸素種の除去に関わる遺伝子の発現を上昇させるとともに、抗酸化活性を高め、活性酸素種の蓄積を抑制することが明らかとなりました。また、トマトphy変異体では、乾燥ストレス条件下での葉の相対水分量が高いことが示されました。これらのことから、活性酸素種の蓄積抑制により細胞の損傷を防ぎ、葉の水分状態を保つことで乾燥ストレスによる害を軽減しているものと示唆されました。本研究では、Money Makerとよばれる中型トマト品種を用いていることから、交配やゲノム編集などでほかのトマト品種に導入することが可能で、品種改良に役立つものと期待されます。
本研究は本学三浦謙治教授、江面浩教授、壽崎拓哉准教授および大阪府立大学吉原静恵助教らによる共同研究による成果です。
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