研究成果

【プレスリリース】植物の生長を促す植物ホルモンの遺伝子発現調節機構の新しい仕組み 〜転写因子のDNA形状読み取りが遺伝子発現の方向を決める〜

ブラシノステロイドは、植物の器官伸長や維管束形成など生長を促す植物ホルモンです。ブラシノステロイドの生理機能は、細胞膜受容体へ結合に始まるシグナル伝達によって活性化された鍵転写因子が、成長プロセスの各段階に応じてゲノム上の数千種と多種類の遺伝子の発現制御を行うことで発揮されますが、このような多数のブラシノステロイド応答性遺伝子の「誘導」または「抑制」の双方向での発現がどのようにコントロールされているのかなど、詳しい分子機構は明らかにされていませんでした。

野﨑翔平 本学生命環境系助教と宮川拓也 京都大学生命科学研究科准教授、中野雄司 同教授、
田之倉優 東京大学名誉教授、光田展隆 産業総合技術研究所副研究部門長、坂本真吾 同主任研究員らの共同研究グループは、各機関の密接な連携により、鍵転写因子であるBIL1/BZR1が遺伝子プロモーター上の標的塩基配列への結合に影響を与える「DNA形状を読み取る仕組み」を原子分解能レベルで解明しました。さらに、BIL1/BZR1はこの仕組みによってプロモーターに単独で強く結合が可能な場合に遺伝子の転写を抑制することが分かりました。今回得られた知見は、ブラシノステロイド特異的に応答するダイナミックな遺伝子変動の全容解明に迫るための重要な手掛かりとして期待されます。

本研究は、形質転換植物デザイン研究拠点において共同研究者である
宮川拓也 京都大学生命科学研究科准教授(当時: 東京大学農学生命科学研究科 特任准教授)
坂本真吾 産業総合技術研究所主任研究員との共同研究成果になります。

プレスリリース

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