研究成果

AtGolS2組換えポプラの隔離ほ場試験における乾燥ストレス耐性向上に関する論文がTransgenic Research誌に掲載

小口太一助教、渡邉和男教授、菊池彰教授らの研究グループは、奈良先端科学技術大学院大学、東京大学との共同研究グループにより、シロイヌナズナ由来のガラクチノール合成酵素 (AtGolS2) 遺伝子を導入した遺伝子組換えポプラの圃場レベルでの乾燥耐性向上することを報告しました。
AtGolS2遺伝子は、植物の種子の高い乾燥耐性に関与するラフィノース属オリゴ糖合成の律速酵素をコードする遺伝子で植物全身での過剰発現により乾燥耐性が向上することが、シロイヌナズナ、イネ等のモデル植物で既に報告されています。また、AtGolS2組換えポプラも、先行研究により実験室レベルの乾燥耐性の向上は確認されているものの、圃場レベルでの評価については行われていませんでした。
本研究では、AtGolS2組換えポプラを約3年にわたり、筑波大学T-PIRC遺伝子研究部門隔離ほ場で栽培試験を実施し、栽培2年後の5月~8月に潅水制限処理を行い、土壌水分量と葉の傷害の指標である光合成量子収量 (QY) や電解質漏出量の観測により、AtGolS2組換えポプラは、深刻な乾燥ストレス条件下における傷害レベルが非組換えポプラと比較し、有意に緩和されることを明らかとしました。
本成果は、奈良先端大出村先生、東大大谷先生との形質転換植物デザイン拠点共同研究によるものです。

[掲載論文]
Transgenic poplar trees overexpressing AtGolS2, a stress-reponsive garactinol synthase gene derived from Arabidopsis thaliana, improved drought tolerance in a confined field
(シロイヌナズナ由来のストレス応答性ガラクチノール合成酵素遺伝子garactinol synthaseを過剰発現ポプラの隔離ほ場における乾燥ストレス耐性の改善)
Shikakura Y, Oguchi T, Yu X, Ohtani M, Demura T, Kikuchi A, Watanabe KN) Transgenic Research, in print (オンライン公開2022.8.23)
https://link.springer.com/article/10.1007/s11248-022-00321-x

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