研究成果

Journal of Experimental Botany誌へ埼玉大学・竹島助教、本学・野﨑助教らの論文が掲載

形質転換植物デザイン研究拠点において共同研究者である埼玉大学・竹島亮馬助教らの論文が掲載されました。
作物の草型は、単位面積あたりの収穫量(単収)の最大化に直結する重要な形質です。ダイズは、油用・食用として世界で最も栽培されているマメ科作物であり、日本では豆腐・納豆・醤油などに利用される私達の生活に欠かせない重要な作物ですが、日本のダイズの単収はアメリカ・ブラジルに比べて低い水準にあります。国土が狭く栽培面積に限りがある日本においては、草型の遺伝的改良のような、単収を増加させる品種育成はより重要となります。本研究では、ダイズの草型に関する分子遺伝学的研究から、草型の遺伝的改良ならびに品種育成に貢献し得る対立遺伝子(アリル)組合せを明らかにしました。

ダイズの草型は茎伸育性や分枝形態などにより規定され、茎伸育性は大きく3つの伸育型ー無限伸育型・半無限伸育型・有限伸育型ーに分類されます。半無限伸育型は、無限伸育型と有限伸育型の中間の草型をとり、特に高緯度地域において、耐倒伏性や密植適性に優れることが報告されています。しかし、半無限伸育型は栽培環境や遺伝的背景に依存してその表現型が安定しないことも報告されていました。本研究では、半無限伸育型を付与する主働遺伝子であるDt2遺伝子と、ダイズの開花・収穫期を強く制御する転写因子であるE1遺伝子との分子遺伝学的相互作用を解析し、半無限伸育型がどのような栽培環境や遺伝的背景でその草型を変動し得るか、検証しました。その結果、E1遺伝子の機能欠損アリルがDt2遺伝子による半無限伸育型の発現を強化させることが明らかになりました(下図)。また、E1タンパク質がDt2遺伝子のプロモーター・イントロン領域に結合してDt2の転写量を抑制することも明らかにし、E1遺伝子によるDt2遺伝子および半無限伸育型の抑制機構の一端も解明しました。これらの成果をもとに、半無限伸育型を効果的に発揮できる、育種に利用可能なDt2-E1のアリル組合せを提案しました。以上の成果は、ダイズの草型の遺伝的改良および多収化にむけた遺伝子ベースの品種育成に貢献できると期待しています。


【掲載論文】
Preferential induction of Dt2 gene in the absence of E1 function enhances semi-determinate stem growth in soybean
(E1遺伝子の機能欠損によるDt2遺伝子の活性化はダイズの半無限伸育性を強化する)
Ryoma Takeshima, Shohei Nosaki, Meilan Xu, Kenta Nakashima, Shin Kato, Maria Stefanie Dwiyanti, Tetsuya Yamada, Baohui Liu, Jun Abe
Journal of Experimental Botany (2026), erag140, https://doi.org/10.1093/jxb/erag140

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