江面浩教授・金智成研究員(現:高麗大学)・有泉亨准教授らの研究グループは、トマトにおいて受粉なしで着果誘導(単為結果誘導)を行う技術開発に取り組んでいます。
従来から、特定の遺伝子に変異が入ること、もしくは人為的にそれらの遺伝子の発現制御をすることで単為結果が誘導できることが報告されてきました。一方、それらの方法で単為結果を誘導した場合、葉の形態異常や植物体の徒長など作物として望ましくない形質変化も引き起こすため、実用作物の開発には至っていません。
今回掲載された論文では、トマトの着果時に花器官特異的に発現する遺伝子を見つけ出し、それらのプロモーター領域を活用し、着果誘導遺伝子を花器官特異的に発現誘導することで、トマトで単為結果を誘導することに成功しました(図)。作成された植物は、従来法で課題となっていた葉の形態異常や植物体の徒長など不良形質は認められませんでした。今後、トマトを含めた果実作物の分子デザイン研究への活用が期待されます。
なお、本研究の一部は、イノベーション創出基礎的研究推進事業(生物系特的産業技術研究支援センター、代表:江面浩)の支援を得て実施されました。
掲載論文はこちらよりご覧ください。
Kim JS, Ezura K, Lee J, Ariizumi T, Ezura H.
Scientific Reports (オンラインにて公開)