コーヒーの根の周辺と果実に共通する細菌群を明らかに ― 栽培履歴の異なるベトナムの3農園を比較 ―

植物研究拠点アライアンス(PSCA)のプラチナ枠研究として、理化学研究所、ベトナム・ホーチミン市バイオテクノロジーセンター、筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター(T-PIRC)、鳥取大学乾燥地研究センターの共同研究グループは、ロブスタコーヒーの根の周辺(根圏)と果実に存在する細菌群を解析し、両者に多くの共通する細菌が存在することを明らかにしました。コーヒーの生育や品質には、根の周辺や果実に生息する微生物が関わっていると考えられています。特に果実の微生物は収穫後の発酵や香味形成に重要ですが、根圏と果実に存在する細菌群の関係については、十分に明らかになっていませんでした。

本研究では、ベトナム・ザーライ省において、慣行栽培、有機栽培への転換中、有機栽培という異なる栽培履歴を持つ3農園を対象に、ロブスタコーヒーの根圏と果実の細菌群を比較しました。各農園から採取した試料について、16S rRNA遺伝子のDNA配列を解析した結果、果実に存在する細菌群の構成は農園間で明瞭に異なり、根圏でも一部の細菌の構成割合に違いが見られました。特に慣行栽培農園と有機栽培農園の間では、構成割合の異なる細菌の種類が多く確認されました。また、各農園で検出された細菌の分類群の約3割が根圏と果実の両方に共通しており、果実に存在する細菌群の相対存在量の約9割(87.8~93.6%)を、根圏でも検出される細菌の属が占めていました。これらには、コーヒーの発酵に関わる乳酸菌や酢酸菌も含まれていました。

本成果は、コーヒーの地下部と地上部に存在する微生物群集の間に大きな共通性があることを示したものです。今回の研究では、異なる栽培履歴を持つ3農園を対象としており、栽培方法そのものの影響を断定することはできませんが、今後、農園環境や栽培履歴と微生物群集の関係、さらには細菌の由来や働きを詳しく調べることで、持続可能なコーヒー栽培や発酵・品質形成の仕組みの理解につながることが期待されます。

【研究代表者】 
• ホーチミン市バイオテクノロジーセンター(ベトナム)
Cham Thi-Mai Le
• 理化学研究所 環境資源科学研究センター
市橋 泰範
藤原 風輝
• 筑波大学 つくば機能植物イノベーション研究センター
渡邊 和男
柴 博史
• 鳥取大学 乾燥地研究センター
坪 充

【掲載論文】
Rhizosphere and fruit microbiome variation across Coffea canephora farms representing conventional, transitional, and organic management
(慣行栽培、有機栽培への転換中および有機栽培のロブスタコーヒー農園における根圏・果実微生物群集の比較)

【掲載誌】:Frontiers in Microbiology, 17:1899736(2026年9月22日公開)

【DOI】:10.3389/fmicb.2026.1899736

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