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形質転換植物デザイン研究拠点セミナー(27)

形質転換植物デザイン研究拠点

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細胞増殖の活性化による植物の成長促進

日時:2月26日(木) 15:00-
於 :センターセミナー室
演題:細胞増殖の活性化による植物の成長促進
演者:岩川秀和 先生
   奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科・NC-CARP研究室

要旨:
植物を構成するすべての細胞は、分裂組織における細胞分裂によって生み出される。
我々はこれまでに、細胞膜やクチクラワックスの構成成分である極長鎖脂肪酸(VLCFA)の合成が細胞増殖を介して植物の成長を制御していることを明らかにしてきた。
シロイヌナズナにおいてVLCFA合成を阻害すると、サイトカイニン合成遺伝子IPTの発現が上昇してサイトカイニン合成が促進され、その結果、維管束周辺での細胞増殖が活性化され、葉や胚軸などの地上部器官が大きくなる。本研究では、シロイヌナズナで得られた知見をもとに、早生広葉樹のモデル植物であるポプラの成長促進を目指している。
バイオマスとなる木質細胞も、形成層における細胞分裂によって作られる。したがって、植物の細胞増殖能力を上げることで木質細胞の生産速度を向上させれば、バイオマスの増大を期待できる。
 まず、VLCFAの合成阻害が植物に与える長期的な影響について基礎的知見を得るため、VLCFA合成阻害剤であるカフェンストロールを含む培地でシロイヌナズナを長期間生育させ、その影響を調べた。その結果、発芽から花成までの日数が短くなることが分かった。 一方、花成時のロゼット葉の枚数は大きく変化しなかった。また、ipt変異体をカフェンストロール処理しても花成の時期に変化はなかった。したがってVLCFA合成の阻害によりサイトカイニン合成が増えた結果、花成そのものが影響を受けたのではなく、メリステムから葉の発生するタイミングが早まっていることが示唆された。ポプラにおいてもシロイヌナズナと同様な現象が起こるか否かを検討するため、カフェンストロールを含む培地でポプラを生育させたところ、予想に反して葉面積は変化しなかった。しかしながら同じ期間に発生する葉の枚数が増加することが明らかになった。このため、総葉面積は1.5倍に増加していた。IPT遺伝子の発現量を調べたところ、2つのIPT遺伝子の発現量が上昇していた。以上の結果から、ポプラにおいてもVLCFA合成を阻害するとサイトカイニン合成が促進され、器官の拡大は起こらないが、葉の発生するタイミングが早まることが明らかになった。以上の結果から、シロイヌナズナとポプラいずれにおいても、カフェンストロール処理によって成長促進の効果が認められた。
 我々は現在、ポプラの木質バイオマスの増産をもたらす技術開発を目指しており、木部分化の早期に働くプロモーターの解析を行っている。シロイヌナズナのWOX4およびTED4は形成層または早期木部細胞で発現している。これらのプロモーターをポプラに導入しその発現部位を解析しているので合わせて報告したい。

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